カリキュラムラボ顧問 夏野剛
例えば、「日本史」を学ぶとは、どういうことか?を考えると、やはり実践からのスタートなんです。自分が住んでいる地区や、家族に縁がある県など、そこにどのような歴史があるかが気になり、そこから学びは始まります。
何か新しことを学ぶ時に、はじめにそこに興味を持てるかどうかがとても大切なはずです。にも関わらず、学校の教科書や授業は全国一律で、カスタマイズもされておらず、何年に何がありましたなど、単調に年号を教えていく。
歴史には必ず環境や、世界情勢、経済システムなどの必然性があり、社会を構成する様々な要素がうずまく中で、歴史的な出来事は起こってきたのです。
「1945年8月15日に第二次世界大戦が終わりました」が大事なのではなく、なぜそんな無謀な戦争に行かなければならなかったのか?誰かが暗殺されましたではなく、その背景に一体何があったのか?それを学ぶことが、本来の姿ではないでしょうか?
こんな風に、日本史から世界史に繋ぐことができれば素晴らしいのですが、実際は表層をなぞるだけだからつまらない。興味を持つところから学べば、本当はもっと面白いはずなんです。いろんな視点から物事を見ることも出来るでしょう。
でも学校の教科書は、ある一定の広範な知識を持たせようとして作られている。その結果どれも頭に入らず、卒業したら全て忘れてしまう、そんな教育に何の意味があるのでしょうか?
関西国際学園の提供する、探究学習から生み出される子どもたちの「主体性」に大いに期待しています。
【プロフィール】
慶應義塾大学 政策・メディア研究科 特別招聘教授
夏野 剛(なつの・たけし)/Takeshi Natsuno
【略歴】
1988年早稲田大学政治経済学部卒、東京ガス入社。95年ペンシルバニア大学経営大学院(ウォートンスクール)卒。ベンチャー企業副社長を経て、97年NTTドコモへ。
99年世界初の携帯電話を利用したインターネットビジネスモデル「iモード」サービスを立ち上げ、2001年ビジネスウィーク誌にて世界のeビジネスリーダー25人の一人に選出される。2005年ドコモ執行役員、08年退社。
現在は慶應大学の特別招聘教授のほか、株式会社ドワンゴ代表取締役社長、株式会社ムービーウォーカー代表取締役会長、そして、KADOKAWA、トランスコスモス、セガサミーホールディングス、グリー、USEN-NEXT HOLDINGS、日本オラクルの取締役を兼任。このほか経済産業省の未踏IT人材発掘・育成事業の統括プロジェクトマネージャー、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会参与、内閣府規制改革推進会議委員も務める。
フジテレビ「とくダネ!」などのテレビ番組や新聞、雑誌、インターネットにおけるメディア登場数も多く、各方面にわたりITを利用した社会変革を促す講演には定評がある。また、HTMLの標準化機関であるW3C(World Wide Web Consortium)のアドバイザリーボードメンバー(2009-2013)、ダボス会議で知られるWorld Economic Forum (WEF) Global Agenda Council Member(2009-2015)も務めた。
著書『ケータイの未来』『脱ガラパゴスの思考法』『iPhone vs.アンドロイド』『なぜ大企業が突然つぶれるのか』『ビジョンがあればプランはいらない』『「当たり前」の戦略思考』等多数。