(株)診断と治療社 月刊『チャイルドヘルス』で、関西国際学園初等部・幼稚園部の読書活動について連載されています。
2月号に掲載される内容から一部、ご紹介します。
連載第2回は、関西国際学園初等部・幼稚園部で取り組んでいる探究学習(UOI:Unit of Inquiry)の6つのテーマから、「①私たちは誰なのか(Who we are) 」について紹介しました。
図書室では探究学習のテーマに沿って、各学年の先生方から授業に必要な本の要望を受け、図書室の蔵書をセットしてクラスに貸し出したり、担任の先生の協力を得て近隣の神戸市立灘図書館の団体貸出を利用したりしています。
Grade3(小学3年生)では「私たちの決断が健康に影響を与える」という中心理念(central idea)を設定して、図書室にある本を和書・洋書ともに集めてクラスに運び、さらに神戸市立灘図書館の団体貸出を利用して多くの本を集めました。
神戸市立灘図書館から借りた本のなかで、特に目を引いたのがこちらの本です。
ケイティ・ブロスナン著『おなかの花園 きみのおなかにひそむ不思議な世界 マイクロバイオームをめぐる冒険』(化学同人)”Gut Garden: A Journey into the Wonderful World of Your Microbiome” by Katie Brosnan
灘図書館からは日本語版を貸していただき、後日英語版も本校図書室に用意することができました。人体の絵本は多数出版されていますが、体内の微生物に着目した絵本は珍しいのではないでしょうか?各単元の終わりには、探究学習の成果をクラスの廊下に掲示します。
「①私たちは誰なのか(Who we are)」のテーマでは、ほかに「自分と他人の似ているところと違うところ」「私たちは学校というコミュニティの中のユニークな存在である」を中心理念(central idea)に設定する学年もあります。
子どもたちは学校というコミュニティーにおいて、先生以外の人にもお世話になっていますよね。
大塚 菜生著『給食室のいちにち』(少年写真新聞社)
こちらの本は、安全でおいしい給食はどのようにして作られているのかを学ぶことができ、私たちの毎日の生活が、いろいろな方に支えられているのだと改めて実感できる絵本です。
みんなが毎日お昼に食べている給食の献立を考え調理して下さる、栄養士さん、調理員さんってどんなお仕事でしょうか? 仕事始めの身支度から、材料の検収、調理、片づけ、献立づくりまで、小学校の給食室の現場を描きます。
自分と他者の関わりについて考えることができる絵本に、新井洋行著『すきなことにがてなこと』(くもん出版)があります。
みんな「すきなこととにがてなこと」があって、人と人とは助け合いでつながっている。年齢、性格、国籍、文化……多様な人々が共生する社会の実現をイメージすることのできる絵本。
Grade2ではこの絵本の内容と同じように、クラスの一人一人が「すきなこと」「にがてなこと」を順番に発表し、自分を助けてくれる友だちと手をつなぎ、最後には大きな円が完成しました。
このように「①私たちは誰なのか(Who we are) 」をテーマに、各学年で絵本を活用し、クラスで話し合ったり、紙にまとめたりすることで、それぞれ中心理念(central idea)に関して理解を深めることができました。