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テーマ「図書室での活動」

(株)診断と治療社 月刊『チャイルドヘルス』で、関西国際学園初等部・幼稚園部の読書活動について連載されています。
3月号に掲載される内容から一部、ご紹介します。

第3回は、「本と本のある空間を大切にする
〜図書室利用のルール、子どもたちや保護者有志の図書室における活動~」をテーマに初等部・幼稚園部の取り組みを紹介しました。

 本校では、子どもたちに、本と本のある空間を大切にできる人に成長してほしいと思っています。幼稚園部では、毎回Libraryの時間の最初に、図書室のルールを繰り返し確認します。「図書室での声の大きさは0ボイス(話さない)か1ボイス(小さな声で)」「図書室の本は丁寧に扱う」「本棚から一人1冊ずつ本を出して、座って読む」。これらのルールは学校の図書室に限らず、公共図書館や書店などを利用する際にも共通する社会性の一つです。

今回ご紹介する1冊目の絵本は、ミシェル・ヌードセン著『としょかんライオン』(岩崎書店)(”Library Lion”  by Michelle Knudsen)です。改めて図書館のルールについて考えると同時に、図書館に入ることができてうれしそうなライオンの様子を見て「図書館って温かくていいところだな。図書館に行ってみたいな。」と思える、そんな絵本です。

(あらすじ)まちの図書館にライオンが入ってきました。図書館員のマクビーさんは大あわて。でもメリウェザー館長は、図書館のきまりを守っているならいいですよ、と言いました。ライオンはこどもたちと一緒に絵本の読み聞かせを聞いています。そのうちライオンはみんなと仲良しになりました。ところがある日、事件が起きてしまいます…。

 本校では、幼稚園部から初等部に進学する際に、京都や大阪、姫路・明石など、神戸校以外の幼稚園部から進学してきた子どもたちと一緒になるので、Grade1(小学1年生)入学後に、改めて図書室の利用についてオリエンテーションを行います。
 学校司書の「図書室の本は、どのようなルールで本棚に並べられていると思いますか?」という質問に対して、「本の大きさや高さで揃えている」「本の題名の最初の文字のあいうえお(五十音)順」「本を購入した日にちが古いものから新しいものの順」など、小学1年生らしいかわいらしい意見が出てきます。なかには「本の内容で分けているのでは?」というするどい意見もあります。

イクタケ マコト 絵、横山 寿美代 監修『としょかん町のバス (いこうよがっこうとしょかん③)』(少年写真新聞社)

(あらすじ)図書館の本がどのようなルールで並べられているか知っていますか?日本国内の90%以上の図書館で使われている「日本十進分類法(NDC)」について、0の広場から1〜9丁目まで「としょかん町じゅんかんバス」に乗って回りながら学びましょう。
NDCの10の数字に込められている意味がわかると、図書館の利便性がさらに向上し、学校の図書室や地域の図書館を利用するのが楽しくなります。


 本校図書室では、和書も洋書も「日本十進分類法(NDC)」のルールに基づいて配架しています。そうすることで、同じテーマの本が、和書も洋書も同じ棚に並び、探究学習の際は、言語に拘らずに本を手に取ることができます。これも日英バイリンガル教育の工夫の一つです。
 また一時期コロナウィルス感染拡大の影響で中断していた、保護者有志による図書ボランティア係の活動が2023年度から復活し、保護者に書架整理を手伝っていただく機会ができました。その際に図書分類についてご説明すると、「へー、図書室の本って、そういうルールで並べてあるんだ」と、保護者の間でも小さな感動が生まれます。この紙面をお読みいただいている皆様のお住まいの近くの公共図書館の図書分類も、是非一度確認してみて下さい。
 さらに2023年9月には、図書ボランティア係主催で、児童のご家庭からご不要になられた図書をご寄贈いただき、保護者・教職員対象の古本市を3日間開催しました。子どもたちにとっても、自分が幼稚園の頃に読んでいた絵本が、バザーを通してまた別のご家庭・お子さんに読んでいただけるなど、リユースを学ぶ機会になり、このバザーの売上金で、図書室に必要な本を新たに購入することができ、学校全体で図書室運営や本に関わる大変良い企画でした。

 次に紹介するのは、Grade2(小学2年生)の図書室での様子です。英語科担任教諭が用意した図書室探検ワークシート”KIA Library scavenger hunt”に、各テーマに合わせてどのような本が図書室にあるか調べて記入します。ワークシートには、英語の本を書く欄と、日本語の本を書く欄が用意されています。子どもたちはこの活動を通して、普段自分が立ち寄らない場所の本棚や、気付かなかった本にも手を伸ばす機会となり、図書室についてさらに詳しくなりました。

 またGrade4(小学4年生)は「こども本の森 神戸」へField Trip(校外学習)に行きました。自宅や学校の図書室ではなかなか味わうことのできない、多くの絵本や児童書に囲まれた空間で、思い思いに読書を楽しむことができました。読書習慣を学童期に身に着けた人は、生涯学習として読書・図書館利用が定着し、今後の人生でも一つの強みとなるはずです。

本校の学園長・中村久美子さんは、「こども本の森 神戸」の設立者でいらっしゃる建築家の安藤忠雄さんと交友関係にあり、安藤さんから本校に、お手紙と共に絵本を寄贈していただきました。安藤さんが神戸に先駆けて大阪・中之島に設立された「こども本の森 中之島」について描かれた絵本、安藤忠雄 原作・はたこうしろう 絵『いたずらのすきなけんちくか』(小学館)です。

「ほんのもり」に遊びに来た兄のりょうたと妹のりさは、黒い服を着た謎のおじさんから館内を案内されることに。この部屋は何をするところ?建築家ってどんな仕事なんだろう?
安藤さんがこれまでに設計した建築も絵本の中で次々に登場します。読めばワクワクして、建築にも図書館にも興味を持つことができる、安藤さん初の絵本です。

 最後に、有志の児童による「図書委員会活動」についてご紹介します。2022年度はG5(小学5年生)が、2023年度はG2(小学2年生)が、図書室の係活動を行いました。本校は、学校全体で各種委員会活動を運営しているわけではないので、あくまでも子どもたちから申し出てくれた自主的なボランティア活動です。子どもたちが活動の参考にしていた本が、吉岡裕子・村上恭子 監修『図書委員アイデアブック 「やってみたい」が大集合!』(あかね書房)です。
G5は「しおりコンテスト」「文庫X]「開運おみくじ本~Fortune Slip Omikuji~」などを企画し、G2は「担任の先生方へのお薦め本調査」や「図書館アンケート」を行いました。
図書委員が活動をしている時間帯に、幼稚園部がクラスで来室することもあり、その際は初等部生が幼稚園部生に読み聞かせを行うなど、異年齢の交流も生まれました。
 

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