子どもの心に絵本で寄り添う
2024年1月から1年間、(株)診断と治療社 月刊『チャイルドヘルス』で、関西国際学園初等部・幼稚園部の読書活動について連載されています。
今回は、連載初回である1月号に掲載された内容から一部、ご紹介します。
連載第1回は「子どもの心に絵本で寄り添う」をテーマに、教員や子どもたちから特に反響の大きかった「感情・気持ちに関する本」を紹介しました。
幼稚園部、初等部低学年で、気持ち・感情について考えるときによく活用される絵本は、ミレイユ・ダランセ著『ムカムカ ドッカーン!』( パイインターナショナル)(原題はフランスの絵本で ”Grosse colere”)です。担任の先生や、本校のスクールカウンセラーからこの絵本を読んでもらったところ、どのクラスもとても興味を持ってくれたようです。
(あらすじ)一日嫌なことばかりだったロベールが、不機嫌に部屋にとじこもっていると、ロベールの口から大きな怒りの「かたまり」があらわれて大暴れ! すると、ロベールは…。
怒りを手放す方法が物語を通じて学べる絵本として、フランスでは小学校の教室には必ず1冊あると言われるほどのベストセラーだそうです。
幼稚園部でK1(年少組)を担当していた教諭は、この絵本を読んだ後、クラスの子どもたちがイライラしてしまったときに「今のムカムカドッカーンだね」と、自分の感情を客観視できるようになったと感じたそうです。スクールカウンセラーがGrade2(小学2年生)の子どもたちに読み聞かせをしたときは、セリフの「ドッカーン」のところを、みんなで声を合わせて読むようにしたらとても盛り上がった、と教えてくれました。
アナ・レナス著『カラーモンスター きもちはなにいろ?』(永岡書店)(”The Colour Monster ” by Anna Llenas)は、気持ちを色で表す絵本です。こちらも幼稚園部・初等部でよく読み聞かせしている絵本です。
(あらすじ)今日のモンスターは、自分でもよくわからないけれど、いろんな気持ちがこんがらがっていて、からだの色もぐちゃぐちゃです。
そこで、うれしい・悲しい・怒り・不安・穏やかの5つの気持ちを、それぞれ入れ物に分けて整理してみると…。
自分の感情を把握し、気持ちの整理や表現ができるようになる本。
本校では、日常のクラス運営の中で”Zones of Regulation”を取り入れています。初等部のPYPコーディネーターによると、”Zones of Regulation”とは、子どもたちの感情や行動のコントロール、自己調整に標準を合わせて「学び」を組み立てることで、子どもたちが、自分の体の感覚や、感情の変化、複雑な社会的状況を理解し、表現しにくい感情や困難な状況にうまく対処する術を学び、日常生活で応用できるようになることを目指しています。
子どもたちは、学校にいる間、あらゆる場面で自分の体調や気分を自己分析します。体調が悪い、疲れている、眠い、悲しい時などはBlue Zone、落ち着いてリラックスしている状態の時はGreen Zone、イライラしていたり、ふざけた気持ちの時はYellow Zoneで、たいてい、何か不満や不安があったり、違和感を感じていることが多いです。強い怒りや恐れを感じて、体のコントロールを失っている状態はRed Zone、この場合、他の人に自分の言動を止めてもらうなど、手助けが必要かもしれません。
”Zones of Regulation”の考え方にも近いこの絵本は、子どもたちにも馴染みのある内容だったのではないでしょうか?
スクールカウンセラーの先生がGrade2の子どもたちにこの絵本を読み聞かせしたあと、子どもたちは今の自分の気持ちをワークシートに色で表しました。
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