高学年以上におすすめの本
「ほん」をテーマにおすすめの本を紹介してきましたが、今回がシリーズ最後となる小学校高学年以上向けのおすすめの本を3冊ご紹介します。
◎ひこ・田中著『ぼくは本を読んでいる。』
小学5年生のルカが、共働きの両親と3人で暮らしている自宅には、壁一面に天井までの高さの本棚が置かれた「本部屋」があり、ルカはそこで紙カバーのかかった5冊の本を見つけます。その中から手に取った本を開くと、題名は『小公女』でした。このお話は、ルカが『小公女』を読み始めた日から1週間の日常を描いています。
翌日クラスに転校してきた松岡さんの印象を、物語の主人公セーラ・クルーと重ねて思い浮かべていたルカですが、松岡さんとは『小公女』を読んでいたことがきっかけで話が弾みます。
その後も、学校の友達と一緒に松岡さんをオススメのスーパーマーケット「カールホフ」に案内したり、父親とスマートフォンの必要性を話し合ったり、日々の生活の一部に、今読んでいる本の物語が溶け込んでいる……
是非、読書する子どもの穏やかで温かい日常に触れて下さい!神戸校初等部司書イチオシの児童書です。
◎アンドリュー・クレメンツ著『ぼくたち負け組クラブ』
The Losers Club by Andrew Clements
6年生のアレックは、本が大好き。放課後に、誰にも邪魔されずに本を読める読書クラブを作ろうと考え、みんなが入りたくなくなるように「負け組クラブ」という名前をつけます。しかし予想に反して、次々と仲間が増え、アレックの心境にも変化が…。一人で静かに本を読んでいたいアレックでしたが、相手の趣味趣向に合わせて本を紹介することや、読んだ本について仲間と話す楽しみを知ります。
「負ける」を意味する”Lose”には「失う」「なくなる」という意味もありますが、本のおかげでなくなるものとは……?
◎益井 博史 著
『ソロモン諸島でビブリオバトル ぼくが届けた本との出会い』
著者が青年海外協力隊で派遣されたのは、身近に本屋も、本が十分に揃った図書館もない「ソロモン諸島」でした。そこで、現地の子どもたちに読書の楽しさを知ってもらうため書評ゲーム「ビブリオバトル」をやることにしますが….。
私がこの本に出会ったのは、関西国際学園のある生徒が「ビブリオバトル」に興味を持って話をしてくれたことがきっかけでした。関西国際学園でも、昨年度はG5(現G6)の授業と、放課後に有志の教員の勉強会で、今年はG5Aで、ビブリオバトルを開催しています。
この本の著者の活動によって、ソロモン諸島の教育にビブリオバトルが根付いていく過程を読んでいると、本の持つ力、本を通してコミュニケーションをとることの楽しさを改めて感じます。