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算数

算数の授業は、外国人担任と日本人担任がチームとなり、英語と日本語の両言語で指導します。クラスの中でさまざまなグループ分けを取り入れ、子どもたちが両言語で算数の概念を理解することを目指しています。算数の取り組みは教科融合型で、探究のテーマに沿って学習の単元を進めます。日本の学習指導要領とIB PYPの算数学習指針を融合した関西国際学園独自の算数カリキュラムを構築しています。初等教育で必要な基本的な算数の単元学習を網羅し、さらに算数のスキルを使って、日英どちらの言語でも他の学習内容に活用する応用力をつけることを目指しています。

「今日のさんすうはむずかしかったけど、みんなのせつめいをきいたらどうやってやるかわかりました。」
「わたしはとけいマスターになれそうです。とけいのこともっとならいたいです!」(算数3年生単元「時間と時こく」より)
これらはある算数のクラスで子どもが書いた振り返りです。関西国際学園では友達との関わりの中で主体的に学ぶ算数を大切にしています。

「算数」と聞けば、「計算が速くできる」や「公式を知っている」など知識面や技能面に偏りがちです。「良い点をとるための算数」ではなく、「コミュニケーションを通して、考え楽しむ算数」を目指しています。
 ただ単に教師が「教えたいこと」を教えるのではなく子どもたちが「学びたいこと」に焦点をあてます。例えば、玉入れゲームの公平さを考える場面から円の学習につなげたり、ジオボードでの形作りから面積の学習につなげたりします。探究的な要素を取り入れ、子どもたち同士で話し合いながら授業を進めていきます。

探究的な算数で考えを深めると、振り返りの時間でたくさんの気づきや考えを書くことができます。自分が学んだことを言葉や図などを使いながら表現していきます。このような振り返りでは「今日の算数は楽しかったです。またしたいです。」というただの感想文はほとんどありません。子どもたちが深く考えた授業では、深い振り返りが可能となり、思考力もどんどん深まっていきます。

Research a math problem that you see in your daily life!

関西国際学園初等部では毎年12月ごろに算数オリンピックを開催しています。このオリンピックは計算の速さなどを競うオリンピックではありません。日頃の探究学習などで疑問に思った算数に関することを研究し発表する場です。
毎年とてもユニークなテーマを考え、研究する姿が見られています。
 

冬休みが明け、今年最初の登校日。

子どもたちは楽しかった思い出とともに、冬休みの宿題も持ってきてくれました。その課題の一つは算数オリンピックのプロジェクトとなる、「算数」の自由研究です。

算数オリンピックは、年に一度校内で行われるイベントで、子どもたちの算数の概念に対する、意欲向上を目的としています。各クラス内で算数の知識やスキルを競い合い、特に優秀な取り組みには、賞が送られます。

算数オリンピックは、自由にリサーチプロジェクトを決めることができます。子どもたちは冬休みの間に、身の回りの疑問や興味のあることを自由に選び、算数を使って解決する研究を行いました。そして学内で、お互いに研究成果を発表し合い、子どもたちの投票でチャンピオンが決定されました。

今回の研究で子どもたちが意識したのは、「十分に算数の知識やスキルが使えているかどうか」と「研究にオリジナリティがあるか」です。

子どもたちは、まずグループに分かれてお互いの研究成果を発表し、グループ内での代表を決めました。グループでは、「へぇー」「なるほど」「おもしろい」などの声が聞こえ、みんな食い入るように友達の発表を聞いていました。また「どうやってそんなこと思いついたの?」「難しかったことは何?」などの質問や「難しい算数が使えていてすごい!」「研究の視点がおもしろい!」などフィードバックを交わすグループもありました。

 

研究はどれもオリジナリティーに溢れ、興味深いものばかりで、子どもたちはグループの代表を決めるのに苦労している様子でした。

それぞれのグループの代表が決まり、いよいよ決勝戦です。各グループから代表が集まり、クラス全体の前でプレゼンテーションを行いました。ここまで来ると誰が賞をとってもおかしくありません。どの研究もとても深く、学びのあるものであり、プレゼンテーションも素晴らしかったです。子どもたちは各グループの代表者のプレゼンを聞き、投票にてチャンピオンを決定しました。

 

 

ここでは特に素晴らしかった研究をいくつか紹介いたします。

 

「身の回りの比(黄金比)」

この研究では、まず落ち葉を拾い、それらを画用紙に並べて貼り、どの落ち葉が最も美しく感じるかを考えました。そしてそれぞれの落ち葉の縦と横の大きさの割合を計算しました。それぞれの落ち葉の縦と横の大きさの割合は少しずつ異なり、それぞれ違う形をしていました。しかし最も美しいと感じた落ち葉の縦と横の大きさの割合は黄金比である(約8:5)になっていました。ちなみに学校でもどの落ち葉が最も美しいか友達に聞いてみたところ、ほとんどの友達が黄金比を持っている落ち葉を選びました。この結果を受けて次に黄金比が使われているものについて調べてみると、アテネのパルテノン神殿や、世界的に有名なIT企業のマークなどに応用されていることがわかりました。

 

「一寸法師の刀はどのくらいの大きさなのか」

この研究では、一寸法師が成人の大きさになり、武器である針も同様の割合で大きく(長く)した際に、どれくらい長いものを振り回して鬼と戦っているのかについて調べました。成人男性の身長を170cmとし、一寸(約3cm)が170cmになると仮定すると約56倍する必要があることがわかります。また家にあった針の長さを計ると2.88cmありました。従ってこれらを56倍させると、一寸法師が成人になった際の針の長さは約161cmということがわかりました。

 

 

「世界の男女比」

家族やクラス、親戚など自分の身の回りに女性が多いことから、世界の男女比はどうなっているのか、世界でも女性の方が多いのではないかと仮説を立て調べてみたいと思いました。インターネットや本で世界の国の男女比を調べると、日本では女性が多いが、世界では男性の方が若干多いという結果でした。人口の多い中国やインド、発展途上国では男性が多く、先進国では医療水準が高いことで女性の周産期死亡率が低下するという理由で、女性が多い傾向にあるということも分かりました。

 

「F1レースカーで火星まで行くとどれくらいかかるのか」

自分の好きなF1レースカーで火星に行き、火星を一周して地球に戻ってくるには何年かかるのかを調べてみたいと思いました。火星までの距離は長く、一周するのも時間がかかると思うので1000年くらいだと仮説を立てました。まず火星の円周を計算し、F1レースカーの最高時速を350kmとして火星までの所要時間と、火星を一周するのに何年かかるかを計算してみました。結果は50年でした。予想は外れましたが生きているうちに行ける可能性があることを知ることができてよかったです。

 

今回の算数オリンピックを通して子どもたちは、自らの疑問を解決したり、興味を深めたりすることができました。算数は何も教室で行われるものばかりではありません。生活の中には、算数を使って解決できる課題が溢れているのです。子どもたちは今回の自由研究を終えてすぐ「次は〇〇をしたい」と既に次の研究に期待を膨らませていました。今回の算数オリンピックが少しでも子どもたちの算数に対する意欲向上に繋がってくれればと願っています。G5の皆さんの素晴らしい研究に拍手を送ります。Good job G5s!